事業承継の各種スキームやスケジュール等、必要なノウハウを詳細にご説明いたします。

事業承継パターン@(親族内)

事業承継のパターンです。区分しますと、@親族内承継、A従業員等の外部への承継、BM&Aの3つに分けられます。もう少し、詳しく分類すれば、以下の通りでしょう。

(1)親族内承継
  @. 子息、子女
  A. 子息、子女以外
(2)親族外承継
  @. 従業員等の外部
   ア.役員、従業員
   イ.取引先や金融機関の出向者
  A. M&A
   ア.会社の全部譲渡
     株式売却、株式交換、合併
   イ.会社の一部譲渡
     会社分割、事業譲渡

(1)親族内承継
 最もオーソドックスなのは親族内承継です。事業承継といえば、従来は当然に親族が行うものとなっておりましたが、近年親族内承継の割合は減少しています。減少しているといっても事業承継全体の約6割ですので、主流であることは間違いありません。

この方法のメリットは、一般的には以下の通りです。

・内外の関係者に受け入れられやすいので、後継者に関するお家騒動が生じる可能性が低い(誰しもが予想しているということです)。

・経営理念の伝承を含めて、後継者教育のための準備期間を十分に確保できる(後継者となる子息等は、子供の頃から、オーナーの経営理念や経営方針を働く姿勢を通じて、実感として自然と理解します。また、業界の知識や人脈等も比較的早くから吸収することができます)。

・相続等により、資金負担が比較的少額で、自社株式や事業用財産を移転できるので、所有と経営の分離を回避しやすい(株式の売買では、多額の資金が必要ですから、後継者は代表者となっても、オーナーがそのまま株式を持っている場合があります。そのため、所有と経営が分離して、経営が安定しません。しかし、相続の場合は、各種制度があり比較的キャッシュアウトが少額で、株式や事業用資産の移転が行われます)。

この方法のデメリットは、一般的には以下の通りです。

・後継者以外の他の相続人への財産分配における公平性の確保が難しい場合がある(相続財産のほとんどが自社株式や事業用資産としますと、後継者にそれらが移転することになり、他の相続人が不満を述べ、そのことが事業承継の大きな問題になる場合があります)。

・経営者として適切な後継者候補がいるとは限らない(事業環境が厳しい現在においては、経営者にはますます様々な資質は求められています。肉親というだけでは、幹部社員や従業員等の関係者を納得させられない場合があります)。

・現経営者が株式を売却する場合、相手が身内であるため、第三者に売却する場合よりも、価格が低めに設定される場合が多い(オーナーが引退後、安定した生活を送るためにも、株式売却による利潤を得たいと思うのは当然ですし、それがなければ引退も難しいでしょう。しかし、株式の売却先が身内の場合は、お金を身内でやり取りしますから、そこで株価を高めに設定することは後継者に多額の資金負担をさせることを意味しますので、なかなか現実には困難です)。

次回はそのほかのパターンのメリット、デメリットです。

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月岡公認会計士事務所

税務 会計 事業承継は東京 千代田区 月岡公認会計士事務所

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