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株式の分散の理由と対策

会社の歴史が長くなると、株式が分散しているのが普通です。この原因は大きく分けて3つあります。

まず一つが節税です。相続税対策の一環として、毎年110万円の程度の贈与を繰り返して、一族にばら撒いた結果です。次にモチベーション目的です。役員や従業員の株式を持たせ、モチベーションをアップと安定株主対策のために、ばら撒いた結果です。最後が名義株です。昔は株式会社を設立するのに最低7人の発起人が必要だったため、名前を借りてそのまま放置した結果です。こうした一度ばら撒かれた株式は、各株主の相続を通じて、実際の所有者がわからずに、収拾不能なほど分散している場合があります。

私はこの仕事をしていてつくづく思うのですが、節税などの目的で安易にばら撒いた結果、取り返しのつかない致命的なダメージを会社に与える場合が多々あります。ですから、株式は決して安易に渡さないでください。今良い関係であったとしても、5年後はわかりません。その相続人との関係などさらにどうなるかわかりません。結局、大きな事をしようとするときに一番大事なのは、株主総会の議決権です。株式は出来る限り、後継者に渡すことを考えてください。時々後継者の方で、贈与でも譲渡でも、株式を移動するときに資金負担が生じるので、株式などいらないと発言をされる方がいらっしゃいます。しかし、この資金負担が将来の会社運営をしやすくするための必要不可欠なコストだとよく説得してください。

しかし、いずれにしても現実にもはや株式が分散している場合には買取を検討する必要があるでしょう。特に後継者以外の親族の株主の中には、やっかみなどもあって後継者の方針にことごとく反対して、自分に様々な面での配慮を要求する者が出てくる場合があります。ただし、株式の所有することを強く主張するものから無理やり株式を取り上げるのはなかなか困難です。ですから、最初に戻りますが、株式を分散させない方法、少なくとも議決権については分散させない方法を必要となってきます。
株式を集める方法と、分散させない方法を次回以降見ていきたいと思います。

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