事業承継の各種スキームやスケジュール等、必要なノウハウを詳細にご説明いたします。

自社株を社員持株会へ譲渡

自社株式の評価を下げる方法の一つとして、社員持株会に第三者割当増資をすることを書きましたが、相続財産そのものを減少させる方法として、社員持株会に社長の株式を譲渡する方法があります。社員持株会に株式を持ってもらう理由として、社長の有する自社株という財産そのものを減少させることだけでなく、
@ 社員の財産形成
A 安定株主対策
が、その理由としてあげられます。

@は、預貯金よりも利回りを高くし、従業員の財産形成を補助します。しかし、そのためには、会社が利益配当を積極的に行うことが前提となります。

Aは、「社員持株会規約」により、社員の死亡や退職の場合に相続人等に株式が移転することを防止することができます。また売買価額なども予め決めることも可能となります。社員持株会ではなくて、社員個人に株式を持たせると、この株式の流出や買取価額に問題が出る可能性が高いのです。そもそも、昨今では終身雇用制度は崩壊していますから、持たせる者をよほど慎重に選ばないと、持たせてもすぐに次の株主を探さなくてはなりません。

社員持株会ついては、その所有する株式を無議決権の配当優先株式にする場合もあります(しかし、配当優先株で議決権がない株式を従業員が喜んで購入するでしょうか。実態はほとんど強制的に購入させられるのではないでしょうか。その場合、従業員の会社に対する帰属意識に疑問が残ります)。

また、普通株式の場合、社員持株会に何%くらい所有させるかですが、せいぜい5〜10%程度にとどめるべきでしょう。従業員という会社に雇用されている立場と、会社経営に参画する権利をもつ株主との立場を考慮するときに、従業員の持株比率があまり高いとバランスに欠けます。

そもそも、事業承継を考慮する会社でも、社員持株会制度が無い会社の方が多いでしょう。先代社長から後継者への自社株の移動に伴う税金を、後継者が支出できる範囲内で抑えられるならば、やはりなるべく多くの株式を後継者が取得することが、経営上有利であることには変わりありません。そのため、私は社員持株会を積極的に導入するべきだとは考えません。

運営者情報


月岡公認会計士事務所

税務 会計 事業承継は東京 千代田区 月岡公認会計士事務所

コンテンツ
リンク集