事業承継の各種スキームやスケジュール等、必要なノウハウを詳細にご説明いたします。

関係者との意思疎通

関係者との意思の疎通の重要性についてです。

現状を把握する際も、その現状を踏まえて事業承継計画を作成する際も、作成した事業承継計画を実行する際も、後継者候補や親族、幹部社員などの関係者としっかりとした意思疎通を図る必要があります。

後継者に関して言えば、事業を引き継ぐ強い意思や能力を把握するために必要です。中長期計画をつくり、その計画を実行していくのは後継者に他なりません。彼(もしくは彼女)の真摯な関与がなければ、円滑な事業承継はそもそも成り立ちません。また、後継者は株式を取得する必要がありますが、その譲渡価格や、その資金を負担できるだけの資力の有無や後継者となった後の報酬も話し合いの中で決めていくことになります。

親族に関して言えば、お家争いを避けるために必要です。代表者の長男が、当初後継者になりたくないということで、別の第三者を後継者として、選抜し育成している最中に、長男が会社を継ぐと突然言い出して、会社が非常に混乱するケースがあります。また、会社を引き継ぐ親族とその他の親族間での財産の分配で、不満がでる場合が多々あります。この不満が大きい場合には、会社運営に支障をきたす可能性があります。他にも突然、遺言が発見され、その有効性に有無を法廷で争うといった問題が生じる場合があります。こうした事態を避けるために、各相続人や親族の意思や希望を聞くと共に、自分の意思もはっきり伝えることが必要です。

幹部社員や従業員に関して言えば、その処遇をどうするかという問題があります。現在の代表者には極めて従順でも、後継者のやり方に常に反発し、事業承継を阻害する場合があります。また、次の後継者として考えていた長男がまだ経験が浅いので、中継ぎを幹部社員に頼んだところ、数年後に長男への経営権の委譲を拒否して、お家騒動になる場合もあります。こうした事態を避けるために、幹部社員や従業員に自分の意思をはっきり伝え、ときには会社の価値を下げないうちに、彼らには会社を去ってもらわなければならないかもしれません。

金融機関に関して言えば、個人保証や担保設定の解除してもらうために必要です。中小企業であれば、金融機関からの借入れに対し、代表者が個人保証をしているのが普通ですし、代表者の個人資産に担保が設定されている場合もあります。この個人保証や担保設定は代表者が交代しても、自動的に解除されるわけではありません。しかし、経営権が移ったのにかかわらず、いつまでも保証や担保が解除されないのでは、安心してリタイヤすることはできません。そのため、金融機関の担当者、支店長、後継者との相互の意思疎通を図りながら、信頼関係を構築していく必要があります。

もちろん、得意先や仕入先、他の少数株主がいる場合も当然考慮にいれなければならない関係者です。
様々な問題を回避するためには、関係者とのコミュニケーションを密にして、円滑な事業承継に協力してもらわなければなりません。これらの問題をすべて放り投げて、後継者に解決してもらおうとしても、とても不可能です。今の代表者が責任を持って、道筋をつくっていかなければなりません。

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月岡公認会計士事務所

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