事業承継の各種スキームやスケジュール等、必要なノウハウを詳細にご説明いたします。

贈与税の暦年課税と相続時精算課税

前回、生前贈与の問題点に触れましたが、具体的な生前贈与の方法、税務上許容されている方法をお話します。この話はとてもポピュラーですから、簡単に触れます。
税務上、許容されていると書きましたが、許容はいくらでもされています。不可能ということはまったくありません。ただし、贈与税は累進税率で非常に高額というだけです。基礎控除額は110万円です。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下     10%  −
300万円以下     15% 10万円
400万円以下     20% 25万円
600万円以下     30% 65万円
1,000万円以下     40% 125万円
1,000万円超     50% 225万円

ちなみに、1,000万円を贈与された場合は、(1,000万円−110万円)×
40%−125万円=231万円の贈与税額となります。

従いまして、基礎控除の範囲内か、もしくは税率が低い金額で贈与を毎年繰り返すことによって、生前に財産の移動を行います。

また、相続時精算課税制度も上手く使えれば、節税が可能です。この制度の概要は以下の通りです。
@ 20歳以上の子(相続人であること)が、65歳以上の親から贈与を受けること
A この制度を受けることを税務署に届け出ること
B 贈与を受けるたびに税務署へ届け出ること
C 2,500万円までは贈与税がかからず、これを超えた分に対して20%の贈与税がかかること
D この制度を使って贈与した財産は、相続時に相続財産に加算して相続税を計算し、すでに納めた贈与税は相続税から控除すること
ただし、平成20年12月31日までの期限付きで贈与税のかからない範囲が2,500万円から3,000万円に拡大されています。その特例の要件は以下の通りです。
@ 親の年齢を65歳以上から60歳以上に引き下げ
A 会社の発行済株式総数の相続税評価総額が20億円未満であること
B 贈与を受けた翌年の3月15日から4年を経過する日まで、贈与を受けた子が発行済株式総数の50%超、かつ議決権総数の50%超の自社株を保有して、代表者になっていること

この相続時精算課税制度の使い方として、よく早い段階から比較的少額の贈与を行って、暦年課税制度を使い、事業承継の目処が本格的についた段階で相続時精算課税制度を使うというのがオーソドックスな方法でした。しかし、今平成21年度の税制改正で、取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度が創出されようとしています。この制度のインパクトはかなり大きいと思われます。この概要は次回見ますが、今あわてて相続時精算課税制度に移行せずに、この新制度がどのようなものになりそうかを年末までによく見極めた方が良いと思います。

運営者情報


月岡公認会計士事務所

税務 会計 事業承継は東京 千代田区 月岡公認会計士事務所

コンテンツ
リンク集