事業承継の各種スキームやスケジュール等、必要なノウハウを詳細にご説明いたします。

事業承継計画の作成手順A

事業承継計画の作成手順で、前回の続きです。

B. 自社の分析、事業環境の予測及び事業ドメインと方向性の決定
これは、通常の中長期経営計画の作成と同じです。後継者と共に、自社の現状を認識し、数字に基づいてその強みや弱み、競争力の源泉やボトルネックなどを分析し、把握します。その後、自社の事業環境が今後、どのようになるかを予測し、それに対して自社がどのように対応していくかという戦略を決定していかなければなりません。このことは、事業ドメイン(事業領域)を明確化し、その方向性を決定する作業です。事業ドメインを正しく捉えていないと、成熟した産業の中で衰退を待つのみという事態にもなりかねません。明確化した事業ドメインの中で、自社の資源の配分する領域の決定などを行います。これらの作業の際には、後継者の意見も尊重してあげてください。最終的に、今作ろうとしていている事業計画を実行していくのは、後継者です。後継者はまだまだ能力不足だと思うでしょうが、後継者だからこそ見えている世界もあります。また、こうした一連の作業は後継者育成の一環です。モチベーションと自覚も積極的に持ってもらうためにも、後継者に対する尊重は不可欠です。


C. 中長期数値目標の設定
事業ドメインと方向性が決まったら、そのあるべき姿を数字で具体的に示します。数字の提示は不可欠です。挑戦的でかつ実現可能性が高い数字でなければなりません。この数字には、売上高、売上高営業利益率、総資本利益率、自己資本比率などがあります。これらの数字が明示され、それに基づいて、経営をしていかないとそもそも事業の承継・拡大は困難です。特に後継者は、自社の状況を皮膚感覚で理解しているわけではないでしょうから、数字に基づかなくては、経営がおぼつかないでしょう。


D. 事業承継の方法、時期、手順等の組み込み
事業ドメインや方向性が決まり、それを数字に落として、中長期の目標を設定した後に、この計画に、事業承継の時期や方法等を具体的に組み込んでいきます。この事業承継の組み込みと事業の方向性や目標数値が相容れない場合もあります。例えば、株式の譲渡を後継者に行うと仮定した時期に負担できないほど株価が高額になってしまう場合などです。これらが生じた場合は、事業計画、もしくは承継の方法を再考する必要があります。このように、具体的な課題、矛盾点を整理して、その解決方法、手順を見出さなくてはなりません。一般的には、後継者の育成、経営権確立のための親族対策・銀行対策、経営幹部人事、株式の移動の方法、相続や所得税等の税金対策などが大きな課題となります。これらの課題の解決方、手順が示され、それが中長期計画に時期、方法として記入されれば、事業承継計画はひとまず完成です。

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月岡公認会計士事務所

税務 会計 事業承継は東京 千代田区 月岡公認会計士事務所

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