事業承継の各種スキームやスケジュール等、必要なノウハウを詳細にご説明いたします。

少数株主対策@

株式が分散してかつ買取が難しい場合には、少数株主の議決権を制限しましょう。その方法として、いくつかあります。

@ 完全無議決権株式にする方法です。まず、完全無議決権株式を発行する旨に定款を変更します。次に普通株式を全部取得条項付種類株式に変更する旨に定款を変更します。更に、全部取得条項付株式を全部取得して、その取得の対価として、完全無議決権株式を交付します。その後、社長に普通株式を発行します。

A 拒否権付種類株式いわゆる黄金株ですね。これは株主総会や取締役会の決議事項につき、拒否権付種類株主の総会の決議を必要とさせる株式です。これは少数株主の意見のみならず、過半数を所有する株主にも対抗できますので極めて強烈です。従いまして、その運用に当たっては慎重さが必要です。この種類株式を発行する場合も定款変更が必要になります。

B 取締役・監査役選任権付種類株式です。これは種類株主総会で取締役又は監査役を選任する権利を持つ株式です。これは役員をすべて自分の意に沿う者だけを送り込めるので、少数株主だけでなく、過半数を所有する株主にも対抗可能で、会社を実質的に支配することが可能となります。これもとても強力な種類株式なので、運用に当たっては慎重さが必要です。この種類株式を発行する場合も定款変更が必要になります。

C 属人的株式も利用できます。属人的株式とは、剰余金の配当を受ける権利、残余財産の分配を受ける権利、株主総会における議決権について株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができるというものです。例えば、社長が持っている株式の議決権は1株につき100個、その他の人は1株につき1個とする、というものです。これは株主平等原則を無視した、とんでもないものですから、少数株主の意見のみならず、過半数を所有する株主にも対抗できますので極めて強烈です。従いまして、その運用に当たっては慎重さが必要です。この属人的株式の導入には、通常の定款変更よりも厳しい要件があります。すべての株主の半数以上で、かつすべての株主の議決権の3/4以上の賛成が必要です。

これらの種類株式や属人的株式の評価方法は定まっていないものが多くあります。結局、これらの運用が実際にあまり進んでいない理由の一つでしょう。運用の慎重さにはそうした税務上のリスクをどこまで許容するかということも含まれます。

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