事業承継の各種スキームやスケジュール等、必要なノウハウを詳細にご説明いたします。

自社株の株価対策@

自社株式の株価を引き下げる方法です。

まず、純資産方式においては、純資産の絶対額もしくは一株当たりの純資産額を減少させれば、株価は低くなります。以下これらを減少させる方法を列挙します。これらの方法のうち、利益や配当金も減少させる場合がありますから、類似業種比準方式においても、株価を低くすることになります。

@ 役員退職金の支給
 社長の退職金は通常は多額になりますから、事業承継のタイミングで退職金を支給します。ただし、退職金を支給するには、社長から会長や相談役等という立場で第一線から退き、報酬は従来の50%以下にする必要があります。会長等の立場は、できれば会社法上の取締役でなくなることが望ましいです。その他の留意点としては、退職金の支給額が社長の在任期間、業種、会社規模等から適正だと認められる金額である必要があります。一般的には、役員退職金の適正額は、最終報酬月額に勤続年数、功績倍率をそれぞれ乗じた金額とされます。最終月額報酬、勤続年数は明白ですが、この功績倍率については3.0〜3.5くらいまでだと言われています。ただし、この範囲内でなければ、否認されるかと言うと必ずしもそうでもありません。功績倍率が5倍、7倍でも否認されない場合もあります。しかし、そうした場合には、倍率の合理的な根拠も用意しておく必要があります。少なくても役員退職金規程は作成しておきましょう。いずれにしても、これにより、利益、純資産を減少させて、後継者に株式を贈与又は譲渡します。

A 役員報酬の増額
 役員報酬を法人税法上、損金算入が認められる金額まで増額させます。役員報酬が適正な額かどうかは実質基準と形式基準によって判断されます。実質基準とは、その役員の職務内容、法人の収益の状況、法人の使用人の給料の支給状況、同種・同規模法人の支給状況を勘案して、不相当かどうかを判断します。しかし、会社の状況は様々ですから、この実質基準を理由に報酬が不相当に高額だと言い切るのは、税務当局もなかなか難しいと思います。形式基準とは、定款又は株主総会の定めている支給限度額を超過している場合です。これは、株主総会で支給限度額を定めて、取締役会で実際の支給額を定めれば基本的クリアーできますので、特に問題はないはずです。ただし、注意していただきたいのは、役員報酬の増額は期の途中では原則としてできません。合理的な理由もなく、増額してしまいますと増額金額が損金に算入されませんので、全く意味がありません。いずれにしても、適切な役員報酬の増額により、利益、純資産を減少させて、後継者に株式を贈与又は譲渡します。

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