金融機関・取引先対応

経営環境の整備の一つとして、金融機関、取引先の対応があります。そのお話です。

面倒だと思いますが、金融機関にご挨拶に行かなくてはなりません。もちろん、借入がなければ、行く必要はありません。しかし、借入金が事業遂行上に大きな意味をもっている会社は、現状と同様もしくはそれ以上の良好な関係を金融機関と構築しなければなりません。そうしないと新たに担保を出せとか、今後の利益計画を詳細に出せとか、金利以上に様々なコストが生じてしまいます。それらを省くには彼らの信頼してもらわなければなりません。当たり前ですが、彼らが最も関心があるのは、本当にお金をきちんとかえしてくれるかどうかということです。従いまして、後継者を紹介するのは、信頼できる後継者がきちんと事業を継続して、お宅から借りたお金はしっかり返済いたしますよ、というメッセージをはっきりと伝えるためです。このメッセージを金融機関（特に支店長）が正確に理解し、信頼してくれたらこの課題はクリアされたということになります。特に後継者が信頼できる人物であることを伝えることが最も重要なポイントです。そのためには、後継者の過去の実績、どういう経験があるのか、どのような成果をあげてきたのかをさりげなくアピールしましょう。また、事業承継計画を明らかにして、これを社長と共に後継者からも説明してもらいましょう。そうして、技術や業界のこと、数字のこともきちんと把握していますよ、将来についての絵もしっかり描いていますよということを理解してもらい、後継者の信頼に繋げるのです。

また、金融機関と同様に、取引先にもご挨拶に行きましょう。取引先の興味は事業の存続性や発展性ですから、承継がスムーズに行われるかどうか、後継者が信頼できる人物かどうかということに最も関心があります。これらの関心事にきちんと答えられるように、しっかりとした挨拶をしましょう。ときどきですが、事業承継の際に、相手先が取引条件の変更等を申し出て、より優位な立場に立とうとする場合がありますので、社長と後継者は注意してください。こちらのごたごたや不安に付け込むのですから、そうした隙を与えないようにしましょう。