事業承継の各種スキームやスケジュール等、必要なノウハウを詳細にご説明いたします。

後継者の選定

親族承継の場合の留意事項です。特に後継者の選定についてのお話です。

一部上場会社では、創業者の親族が経営しているところはだいぶ少なくなっています。それは、親族だというだけでは、株式市場も従業員も得意先もなかなか納得しないという現実があります。大企業である以上、ステークホルダーが非常に多岐にわたり、公の存在に近くなります。これらステークホルダーに支持されなければ、どれほど大企業であっても、アッというまにブランドは既存し、市場から撤退しなくてはなりません。しかし、中小企業では、親族以外の優秀な人材を後継者にしたくても実際にはなかなかできません。まず、親族の後継者候補ありきというのが多くの場合の現状でしょう。そうであるならば、どのような人材であっても、「後継者になってもいい。」と親族が言っているだけで、後継者に指名すべきでしょうは。私はそうではないと思います。中小企業であっても、幹部役員がいて、従業員がいて、他の株主がいて、得意先がいる以上は、本当に後継者として問題がないか、問題があるとすればどの点で、その不足した部分をどのように今後補っていけばいいかということを見極めていかなければなりません。

それでは、具体的にはどのような意識や資質が後継者に求められるのでしょうか。欲を言えば、きりがないのですが、何といっても本人の強い事業意欲が第一番でしょう。逆に言うと、この強い事業意欲があれば、多くのことはクリアするでしょう。この事業をどうしても成功したいと尋常ならざる強い思いがあれば、もともと文系であっても、現場に行ったり、専門家に聞いたりして、技術のこともしっかり学びます。理系であっても、財務、会計、法律のこともきちんと学びます。必要であれば、個人資産の提供や借入金の連帯保証をすることもためらいません。こうした事業意欲とともに、一定の資質があることが、非常に望ましいです。その資質とは柔軟性、決断力、誠実性、指導力、忍耐力などです。以前のベンチャーキャタルが経営者にどのような能力、資質を求めるか、ということをブログで書いたことをもう一度記載します。

1.先見性があるか。
2.数字を把握することができるか。
3.説得力があるか。
4.実行力があるか。
5.体力はあるか。
6.嘘をつかないか。
7.公私混同しないか。
8.リーダーシップはあるか。
9.愛嬌はあるか。
10.他の経営陣はしっかりしているか。
11.高い目的意識を持っているか。
12.常にチャレンジ精神を維持できるか。
13.謙虚であるか。
14.人脈を持っているか。
15.高い集中力を持続できるか。
16.虚栄心が強くないか。
17.リスクをとりにいけるか。

どうでしょうか。この能力、資質をすべて持っている人が、地球上に何人いるでしょうか。こうした人材を探すことに心血を注ぐよりも、今の後継者候補のどの資質が強みでそれを伸ばす方法と、苦手な面をどのような幹部がカバーするように手配するかということの方が現実的な対処法だと思います。

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