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自社株の株価対策B

自社株の評価を下げる方法の続きです。

C 含み損の実現

会社所有の資産のうちで、時価と簿価が乖離しているのものがある場合には、その含み損を売却などにより実現させて、利益を圧縮させます。具体的には、土地、建物、有価証券、棚卸資産、売掛金、貸付金などです。ただし、売却する相手方が子会社や関連会社などの場合には、譲渡価額や譲渡そのものが税務上問題になる場合がありますので、注意が必要です。

土地の場合は適正な時価の参考として、公示価格、基準地価格、路線価などがあります。ただし、地籍が大きい、規制上の問題がある、地形が複雑であるなどでリスクが大きい場合には、不動産鑑定士に依頼した方が良いかもしれません。

有価証券のうち、上場株式などで時価が明白な場合は問題がないですが、取引相場がない場合はなかなか面倒です。譲渡価額が小さい場合や所有割合が低い場合はまだしも、所有割合が大きく、譲渡価額も多額になると予想される場合には、専門家に評価を依頼した方が良いかもしれません。ただし、不動産以上に流動性が低いのが未公開株式です。特に含み損を抱えるような株式の場合は、損失を計上したくても相手先がなかなか見つからない可能性も高いです。

売掛金、貸付金の場合は、債務者の債務超過の状況が相当期間継続し、弁済ができないと認められるならば、債務放棄の書面を相手方に通知して、損金に計上できます(いわゆる、法律上の貸倒れ)。問題は債務超過の期間やそもそもどのようにして、債務超過であることがわかるのかということです。一般的には債務超過の期間は3-5年といわれています。また、株主でもなければ、債務超過かどうかは知りえません。さらにこの債務超過とは時価ベースの必要があるという意見もあり、こうした情報は相手方の協力がない限り入手するのが難しいでしょう。実際には、債権放棄の代償として、これらの情報の相手方から入手するという方法が現実的だと思います。貸倒損失には他にもいわゆる事実上の貸倒れや形式上の貸倒れもあります。しかし、これらは相手方の状況次第という場合が多く、こちらが能動的に損失を計上するのが困難です。

また、売却しなくても時価が著しく下落している場合には、評価減をとることが可能な場合もありますが、その際にも評価額の算定に注意してください。

いずれにしても、こうして含み損を実現させて損金に算入し、利益、純資産を減少させ、後継者に株式を贈与又は譲渡します。

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